メイン

2007年07月01日

虫歯予防の話

 6月14日(木)矯正歯科医会の研修で長崎大学大学院医歯薬学総合研究科社会医療科学講座口腔保健学の飯島洋一先生の講演『初期う蝕再石灰化の最新テクニック』を聴きました。ふう~これだけ書いただけで大変そうだけれど、いい勉強になりました。
 講演を拝聴して私が勝手に決めた内容のキーワードですが、「MI テクニック」、「EBM」、「再石灰化」と思います。MI (minimal intervention) technique とは虫歯の治療にあたって最小限の浸襲による管理治療を意味しています。EBM(evidence based medicine) とは科学的根拠に基づく医療を意味します。飯島先生のお話は、この二つの思考法を常に意識されたものでした。歯の健康観を論理的に説明された中で、もっとも中心となるのが、「歯の再石灰化」でした。この言葉は、TVなどでもおなじみかと思いますが、ごく小さな虫歯は再石灰化によって治っちゃうという話です。

 初期カリエスはリバーシブル、つまり脱灰(ミネラルが溶け出すこと)が進むと穴の開く虫歯になり、再石灰化(ミネラルが歯に戻ること)が進むと健全な歯になるということです。再石灰化を促進するには、重炭酸イオンとフッ素イオンが大きな役目を果たしています。つまりpHの中和化とミネラルの供給。そして、重要なことは、時間がたっぷり必要だということです。これを言葉を代えて言うと、自分の唾液で歯を守っている、フッ化物を用いるのが有効、寝る前に口腔の環境を整えることが大事となります。
 イエテボリ大学の推奨している方法を書いておきます。
1.フッ化物入り歯磨き剤の量を年齢に応じて変える。歯ブラシの大きさ程度
2.ペーストを歯の全面に広げる
3.磨き方よりも時間、2分間行なう
4.必要以上に吐き出さない
5.10mlの水でゆすぐ
6.1分程度のぶくぶく
7.吐き出したら、うがいはしない
8.2時間は飲食しない
 その他の事柄
1.食生活習慣を整える(発酵性糖質の摂取制限)
2.ブラシ以外のフロス、歯冠ブラシ、タングブラシなどの利用
3.十分な咀嚼
4.特定保健用食品の利用
 以上の自分で行なうセルフケアの他に、医院で受けるプロケアが非常に重要です。
(プロケア;歯科衛生士が行なう歯面清掃、プロフェッショナル・メカニカル・トゥース・クリーニング、PMTC)

 固定式の矯正装置を着けていると、虫歯リスクは高くなります。しかし、このリスクを判っていても矯正治療によって歯や顎の位置を良い環境に変えてあげることで、良い歯並び、良い咬み合わせになり、食事もよく咀嚼できるようになります。カリエスリスクを跳ね返す智恵と努力を身に着けて、気分もすっきりさせたいですね。


投稿者 wakimoto : 14:23 | コメント (0)

2007年06月08日

歯の衛生週間行事

 6月3日(日)午前の診療後、港北区の歯の健診と矯正治療の相談コーナーを手伝うために、保健センターまで行きました。4時頃まで、順番に10名の方にお口の状態と矯正治療について説明をしました。質問は、1)治療した方が良いか、2)いつから治療始めれば良いか、3)費用負担については、などでした。
 1)については、今の不正咬合が、顎骨や歯肉などへの成長に悪影響を与えているようだと、早めに治療開始がよいでしょう。一方、歯並びは悪いけれども、他の組織に影響していないようだと、しばらく歯の萌出を観察して行くことで大丈夫です。
 2)については、個人個人で異なります。相談に来てくれた子は、7ー8歳の子供が多かったですが、これはちょうどいいタイミングです。日本矯正歯科学会においても、7歳頃までに相談することをお勧めしています。この理由は、顎の成長発育をコントロールするためには、この時期から治療を開始するのが適しているからです。つまり、成長期でないと治せない状態かどうかを見つけてあげることが大事なのです。逆に言うと顎骨の位置や大きさに問題のない子供は、もっと後からでも大丈夫なのです。最後の乳歯が萌え変わる頃、多くは小学生から中学生になる頃でしょうか。成長発育は、一般的には、男の子よりも女の子の方が早いですし、また、個人差も1ー2年は認められますので、厳密に何歳からの矯正治療が適しているとは決めにくいのですが、歯の萌出状態や身体の発達状態、骨の年齢、などを参考に、ひとり一人にとって最適な時期を見つけます。手のレントゲンも撮影するのですが、これは皆さん驚かれます。「えー歯と手が、どうして?」、この話は別の機会にしたいと思います。

 3)については、自由診療の範囲では、各医院によって異なるので、具体的な説明はできないのです。医院に行ったら治療前によく説明を受けることをお勧めしました。実際には検査診断をしないと見積を出すことはできないのですが、凡その目安を聞くことが大事です。ちなみに当院では最初に料金表をお渡ししますが、この日の相談コーナーでは自院の話はできないので、ちょっともどかしいですね。

 健診をしても本当に虫歯は少なくなりました。虫歯予防デーの6月4日だったのですが、歯の衛生週間の中でも最近は矯正歯科の話題が半分を締めるようになってきました。良い歯並び、よい咬み合わせの子供達が一人でも多くなりますように!

投稿者 wakimoto : 02:58 | コメント (0)

2007年05月10日

3歳児歯科健診

 先日、大倉山にある港北区の歯科保健センターまで出かけ、3歳児のお口の健診をしてきました。この年齢だと、おおよそ16本から20本の乳歯が萌えています。一人できちんと座ってお口を見せてくれる子、お母さんの膝の上でないとイヤな子、泣きながらだだをこねる子、お口を拝見する前に、ひとり一人色々な様子を見せてくれます。アンパンマンのぬいぐるみを上の方にぶら下げているので、どの子もすぐに見つけてくれます。すかさず「お口の中にバイキンマンがいるかもしれないよ、見せてくださいね」と診察します。こちらも楽しい気分で調べるようにしています。私は、年に数回の参加ですが、いつも虫歯はすごく少ないです。「よかったねー、バイキンマンはいないいない、大丈夫でした」。泣きわめいた子もみんな、終わったらバイバイをしてくれます。
 虫歯が少ないのは、お母さま方が予防歯科に熱心になってきた結果だと思います。歯科医師側の予防意識の啓発の結果でもあります。大変良いことです。健康な歯で美味しく食べてすくすく発育してほしいですね。

 虫歯が見つかった場合は、必ず治療を受けて頂きますが、子供に治療嫌いになってもらいたくないので、私は、「虫歯の進行止めの処置から無理せず徐々に治療に慣れてもらってください。」と話すようにしています。最近の歯科治療は、歯の最小限の切削で歯と同じ色の修復が可能となっており、コミニュケーションがとれていれば非常に良い結果となります。時には、健診の際に天然歯か修復歯か迷う程です。
 虫歯以外のチェック項目は、磨き残し、歯肉や小帯などの軟組織の状態、咬み合わせ、舌の使い方等です。質問が多いのは、受け口などの咬み合わせや指シャブリについてです。咬み合わせの矯正治療は、早くて4ー5歳頃からと考えています。また3歳児では、指シャブリがあっても、不思議ではありません。4歳くらいまでに止めることができれば、咬み合わせに大きな障害はありません。個人差もありますが、これらについての詳細は、また機会を見て書くことにします。
 この歯科検診は、区からの要請を港北歯科医師会が受けて協力しているもので、1歳6か月児歯科健診、3歳児歯科健診、妊産婦歯科健診があり、両親教室などの講演会も行っています。これもいずれ書こうと思います。

投稿者 wakimoto : 10:52 | コメント (0)